初めての出産を控えている妊婦さん、あるいは二人目、三人目の出産を控えているママへ。
出産後の世界は、想像以上に慌ただしく、そして感情が繊細になる時期でもあります。
そんな中で、思いもよらず心身を苦しめるのが「乳腺炎」です。
「乳腺炎」と聞いても、ピンとこない方もいるかもしれませんが、授乳期には実に多くのママたちが経験しています。
体調だけでなく心にも影響するため、妊娠中の今から知っておくことが、のちの平和な授乳生活の鍵になるのです。
乳腺炎とは?〜母乳の通り道が詰まって起こる炎症〜
乳腺炎とは、母乳がスムーズに乳頭から排出されず、乳腺内にたまって炎症が起こる状態のこと。
「乳腺(にゅうせん)」は、母乳をつくり、乳頭へと運ぶ通路のような存在です。
この通路が詰まったり、母乳がうまく排出されないと、乳腺内に圧がかかり、そこに細菌が入ることで炎症が起こります。
主な症状は次の通りです。
- 胸が部分的にカチカチに腫れて痛い
- 熱を持つ、赤くなる
- 身体全体がだるく、風邪のような悪寒や発熱が出ることも
- 授乳時に激痛を感じる
まるでインフルエンザのような全身症状になることもあり、ワンオペで赤ちゃんの世話をしている最中だと、心が折れそうになる人も多いのです。
なぜ乳腺炎になるの?主な原因
乳腺炎は体質のせいだと思われがちですが、実は以下のような生活習慣や授乳のタイミングが関係しています。
① 母乳の詰まり(うっ滞性乳腺炎)
もっとも多い原因は「母乳が溜まりすぎて詰まる」タイプです。
・授乳間隔があきすぎた
・赤ちゃんの飲み方が浅くて飲み残しが多い
・乳首に傷があり、吸わせにくくなっている
などが引き金になります。
② 細菌感染による炎症(化膿性乳腺炎)
乳首に傷があったり、清潔を保てなかった場合、細菌が乳腺に入り込み、化膿してしまうことがあります。
発熱や膿が出るなどの強い炎症が特徴で、抗生物質が必要になるケースもあります。
妊娠中にできる予防の心がけ
妊娠中の今、できる対策は多くはないかもしれません。
ですが、「知っておくこと」「準備しておくこと」だけでも、大きな安心になります。
● 乳頭ケアを丁寧に
乳首にかさぶたや角質があると、赤ちゃんがうまく吸えず、母乳が乳腺に残ってしまいます。
妊娠後期になったら、乳頭をやさしくマッサージしてやわらかくしておくことがおすすめです(※切迫早産のリスクがある場合は医師の指示を優先してください)。
● 食事の内容を意識
脂っこいもの・甘いものばかり食べていると、母乳がドロドロしやすくなると言われています。
和食中心の食事を意識すると、授乳期にもスムーズに移行できます。
乳腺炎になったら?ママができる対処法
乳腺炎かな?と思ったら、まずは焦らず以下の対処をしてみましょう。
● 授乳を止めないで!
「痛いから授乳を中断したい…」と思うかもしれませんが、乳腺炎は「母乳を出すこと」で改善されることがほとんど。
赤ちゃんにしっかり吸ってもらうことで、詰まりが解消されます。
ただし、どうしても痛い場合は、搾乳器や手搾りで少しずつ排出してみましょう。
● 冷やす or 温める?
・腫れや熱がある時:冷やして炎症を抑える
・しこりがあるが熱はない時:温めてから搾乳しやすくする
状況に応じて使い分けるのがポイントです。
● 病院に行くべきタイミング
- 高熱(38.5℃以上)が続く
- 痛みがどんどん悪化する
- 授乳しても症状が軽くならない
- 膿が出てきた、血が混ざった
このような場合は、すぐに母乳外来や産婦人科を受診してください。
授乳期を平和に過ごすために大切なこと
乳腺炎は、育児の大変さと相まって「心のダメージ」も大きくなりがちです。
だからこそ、以下のような**「無理をしない習慣」**を意識してほしいのです。
● 頼れる人に頼る
乳腺炎になった時はもちろん、日頃から周囲に「助けて」と言える環境をつくっておきましょう。
完璧なママでいようとせず、「誰かに手を借りながらやる」ことが長く育児を続けるコツです。
● 体の声を聞く時間をつくる
体がつらい時こそ、5分でも「自分のための時間」をとってみましょう。
深呼吸したり、目を閉じたり、心を落ち着けるだけでも回復力は違います。
ピラティスをしている方なら、軽いストレッチや呼吸法だけでも乳腺の詰まりを予防する効果があります(産後に再開するときは必ず医師に相談を)。
あなたは一人じゃない
授乳期は、赤ちゃんと向き合う最も尊い時間です。
でも同時に、自分自身のケアを忘れがちな時期でもあります。
乳腺炎になってしまったからといって、自分を責める必要はありません。
必要なのは「知識」と「備え」、そして「無理しない心」。
どうか妊娠中の今、この記事があなたの心に小さな安心を届けられますように。
そして産後、少しでも穏やかに母乳育児が進みますように。


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